トイレを出るとき、後ろを振り返っていますか?
誰も見ていない場所です。次に誰が入るかも分からない。だからこそ、そこでの振る舞いに、その人の品格がまるごと出ます。
私が何年も続けている習慣は、ひとつだけです。入るときより、出るときのほうがきれいになっているようにする。この記事では、そのやり方と、この習慣が思いがけず評価につながった実話を書きます。
誰も見ていない場所こそ、本性が出る
以前、誰にでも丁寧に接することは品格につながるという記事を書きました。店員さんへの態度に、その人の中身が出るという話です。
今日はその先の話をします。相手がいる場面で丁寧にするのは、まだ簡単なのです。見られているという意識が、自然とブレーキになるから。本当に試されるのは、誰にも見られていない場所での振る舞いです。
その代表格が、トイレです。駅、店舗、コンビニ、そして訪問先の家。ひとりきりになれる密室で、あなたは何をしているか。誰も見ていないから手を抜くのか、誰も見ていなくても整えるのか。ここに、その人の品格が一番正直に表れます。
私がやっている2つのこと
難しいことはしていません。やっているのは、次の2つだけです。
ひとつ目は、必ず座って用を足すこと。立ってすると、自分では気づかないほど広範囲に飛び散ります。掃除をする側になってみれば分かりますが、あの汚れと臭いの原因はほぼこれです。座るだけで、汚す量そのものがほぼゼロになる。40代・50代なら、もう議論の余地はありません。
ふたつ目は、ついでにひと拭きすること。トイレットペーパーを少し多めに取って、便座のふち、汚れが目についたところを拭いてから流す。時間にして10秒です。自分が汚したかどうかは関係ありません。目についた汚れは、気づいた人が取ればいい。
この2つで、入るときよりきれいな状態にして出られます。特別な道具も、心構えも要りません。
知人宅で起きた、思いがけない出来事
この習慣が、思わぬ形で返ってきたことがあります。
知人の家に招かれたときのことです。そこは男の子が多いお宅で、正直に言うと、トイレはかなり汚れていました。私はいつも通り、用を足したあとに気になったところを拭いて出ました。誰かに言うことでもないので、何も言わずに席に戻りました。
その直後、たまたまそのお宅の奥さんがトイレに入ったのです。
後日、私に対する印象がずいぶん良くなっていることに気づきました。言葉で伝えたわけでも、見せつけたわけでもありません。ただ、いつもの習慣が、たまたま人の目に触れただけです。
ここで大事なのは、狙ってやったのではないということです。評価されるためにやっていたら、あの日に限って手を抜いていた可能性もある。習慣にしていたから、たまたまの一回で結果が出た。誰も見ていないときの振る舞いは、いつか必ず、誰かに見られます。
逆に、汚して帰る人をどう見るか
正直に書きます。逆の立場になったとき、私はかなり厳しく見ています。
自宅に招いた知人が、トイレを汚したまま帰る。それを見つけたとき、「もう来てほしくない」と思ってしまうのが本音です。そして、その人の品格そのものを疑ってしまう。
厳しすぎるでしょうか。でも、考えてみてください。人の家のトイレを汚したまま去るというのは、「後始末は誰かがやるだろう」という態度が、そのまま形になったものです。その姿勢は、トイレだけで止まりません。仕事でも、人間関係でも、必ずどこかに出ます。
トイレは、その人が「後始末をする人間かどうか」を映す鏡である。
この習慣が、自分に返ってくるもの
誰かのためだけの話ではありません。この習慣は、自分にも効きます。
誰も見ていない場所で手を抜かないと決めると、自分に対する信頼が育ちます。見られていないときの自分と、見られているときの自分が同じである。この一致は、静かな自信になります。逆に、人前だけ取り繕う生き方は、どこか落ち着かないものです。
そして、たった10秒の手間で、周囲の環境が少しだけ良くなる。次に入る誰かが、不快な思いをせずに済む。自分の通ったあとが、少しきれいになっている人生。悪くないと思いませんか。
今日からできる、3つのこと
- 今日から、必ず座る。自宅も外出先も例外なし。汚す量が激減し、掃除の手間も臭いの原因も消えます。習慣にすれば、迷う場面自体がなくなります。
- 出る前に、10秒だけ振り返る。便座のふち、床、洗面台の水はね。目についたところをペーパーでひと拭き。自分が汚したかどうかは問いません。
- 訪問先では、必ずやる。人の家、取引先、恋人の実家。あなたが座った便座を、次に使うのはその家の人です。ここでの10秒は、何よりも雄弁な自己紹介になります。
まとめ
品格とは、人前での立ち居振る舞いのことではありません。誰も見ていない場所で、何をするかです。そしてその試験会場は、たいてい密室のトイレの中にあります。
入るときより、出るときのほうがきれいに。たった10秒の習慣ですが、続けていれば、いつか必ず誰かが気づきます。私がそうだったように。
見られている場所で作るのは印象、見られていない場所で作るのは品格。



