必要なタイミングで、パッと笑顔になれますか?
作り笑いの話ではありません。ふいに笑顔を向けられた、その瞬間。挨拶された、目が合った、話しかけられた。その一瞬に、自然な笑顔で返せるかという話です。
私はできませんでした。しかも、できていないことに、長い間気づいてもいませんでした。この記事は、笑顔で返せない顔になっていた私が、「笑顔は気持ちではなく筋肉だ」と思い知り、笑顔筋トレを始めるまでの話です。
笑顔を向けられて、返せなかった日
ある日、予期せぬタイミングで、相手からふっと笑顔を向けられました。私も笑顔で返そうとした――のですが、顔が動かない。口角が上がりきるまでに、妙な間があったのです。
ほんの一、二秒の遅れです。でも、表情のやりとりにおいて、この遅れは致命的でした。相手の笑顔が少しだけ曇ったのが、わかってしまった。遅れて出てくる笑顔は、もう「返した」ことにならないのです。あの間の悪さは、今でも忘れられません。
鏡の前で笑ったら、顔が痙攣した
これではダメだと、鏡の前で笑顔の練習を始めました。口角を上げて、目元をゆるめて、歯を見せて――そこで、衝撃の事実に直面します。
顔が、ピクピクと痙攣したのです。笑顔をキープしようとすると、頬のあたりが震えて、すぐに元の顔に戻ろうとする。長年使っていない筋肉に、いきなり負荷をかけたときのあの感覚。つまり、そういうことでした。笑顔の練習は、筋トレとまったく同じだったのです。
気持ちの問題だと思っていたものが、実は筋肉の問題だった。この発見は、落ち込むどころか希望でした。筋肉なら、鍛えれば戻るからです。
「笑っているつもり」は、笑っていない
なぜ顔は、笑えなくなっていたのか。答えは日常にありました。中高年の男性の生活には、表情筋を使う場面がほとんどありません。会議でも、パソコンの前でも、通勤中でも、顔はずっと「無表情」のまま。一日の大半、表情筋は休眠状態です。
その結果、何が起きるか。本人が笑っているつもりでも、外から見ると笑顔になっていないという現象です。心の中では笑っている。でも、顔の筋肉が心に追いついていないから、表情としては薄い変化しか出ていない。本人のつもりと、相手に見えている顔。このギャップに、本人だけが気づけません。
以前、表情で相手を見分ける話を書きましたが、忘れてはいけないのは、こちらの表情も同じように見られているということです。顔立ちは静止画、表情は動画。動画の側で勝負がついているのに、静止画の手入ればかりしても仕方がないのです。
笑顔の瞬発力は、筋トレで取り戻せる
ここからは、私が実際にやっている笑顔筋トレです。道具も時間も要りません。
①「いー」の口で10秒キープ×3セット。口角を思い切り横に引き上げて、10秒止める。頬が疲れる感覚があれば、正しく効いています。最初は痙攣しますが、それは効いている証拠です。
②頬を上げて、目まで笑わせる。口角だけの笑顔は「営業スマイル」に見えます。頬の肉を持ち上げて、目が少し細くなるところまで動かす。目が笑っていない笑顔と、目まで笑っている笑顔は、相手に届く温度がまるで違います。
③仕上げは「瞬発力」の練習。無表情から、一気に最高の笑顔へ。これを繰り返します。ゆっくり作る笑顔ではなく、パッと出す笑顔。筋トレでいえば、ゆっくり効かせる種目のあとの、瞬発系の種目です。私は歯磨きの前後、鏡の前で毎日やっています。
パッと出る笑顔は、人を引き寄せる
続けていると、あの「間」が消えていきました。笑顔を向けられた瞬間、考えるより先に顔が返してくれる。そうなってから、周りの反応が明らかに変わりました。
とっさにパッと華やかな笑顔になれると、相手も釣られて笑顔になります。人は、向けられた表情を無意識に写し返す生き物だからです。こちらの瞬発力が上がると、その場の空気ごと明るくなる。笑顔には、人を引き寄せる力が本当にあります。良い出会いも、今ある関係を良好に保つことも、入口はいつも表情です。
今日からできる、3つのこと
- 鏡の前で、全力の笑顔を10秒キープしてみる。頬が震えたら、それが現在地です。落ち込む必要はありません。筋肉は、今日から鍛えれば今日から変わり始めます。
- 笑顔筋トレを、歯磨きとセットにする。「いー」10秒×3セットと、無表情→最高の笑顔の瞬発練習。鏡の前に立つ習慣に相乗りさせれば、忘れようがありません。
- 今日、誰かに自分から先に笑顔を向けてみる。店員さん、家族、同僚。実戦こそ最高のトレーニングです。相手が釣られて笑顔になったら、それが効果測定になります。
まとめ
笑顔は、性格でも気分でもなく、筋肉です。使わなければ衰え、鍛えれば戻る。そして大事なのは、笑顔の「質」より先に「速さ」でした。遅れて出る笑顔は愛想に見え、瞬時に出る笑顔は人柄に見える。
鏡の前で頬が震えたあの日から、私の笑顔筋トレは続いています。あなたも今日、歯磨きのついでに一度、全力で笑ってみてください。震えたら、伸びしろです。
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