自分の機嫌は、自分で取る──ピリピリしていた私がキレるおじさんを卒業するまで

雨上がりの窓辺で、湯気の立つコーヒーを手に穏やかに外を眺める50代の日本人男性

あなたの職場に、いませんか。何か気に入らないことがあると、すぐにカッとなるおじさん。舌打ち、ため息、書類を置く音がだんだん大きくなる――。冷静に見て、正直、痛いですよね。

私も同じことを思っていました。ただし、鏡を見るまでは。あの「痛いおじさん」は、過去の私そのものだったのです。この記事では、怒りをまき散らしていた私が、アンガーマネジメントというスキルに出会い、最後に一つの決心で抜け出すまでの話をします。

目次

キレるおじさんは、なぜあんなに「痛い」のか

まず、キレるおじさんが周りからどう見えているかを、はっきりさせておきます。怖い、ではありません。幼い、です。

感情のコントロールは、本来、大人になる過程で身につけるものです。それが40代・50代になってもできていないということは、「私は自分の感情ひとつ御せません」と周囲に公表しているのと同じこと。地位や年齢が上がるほど、そのギャップは痛々しく映ります。

そして、怒りで手に入るものは、実はひとつもありません。部下や家族が従ったように見えても、それは服従の演技です。心の中では静かに軽蔑され、静かに距離を取られていく。イケおじの必須条件が「メンタルの安定」である理由は、ここにあります。キレるという行為は、イケおじにあるまじき行為なのです。

穴があったら入りたい――ピリピリしていた頃の私

偉そうに書いていますが、私自身がまさにそれでした。気に入らないことがあると、すぐに負の感情が表情に出る。言葉にしなくても、纏っている空気で伝わる。会議室に私が入ると、場が少し硬くなる――そんな状態です。

怖いのは、周りが気を使ってくれている間、本人はそれに気づかないことです。むしろ「自分は舐められていない」と、どこかで勘違いすらしていました。ピリピリした空気の発生源が自分で、周囲がそれに合わせて言葉を選び、話題を選び、タイミングを選んでくれていた。今から考えると、穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。

もしあなたが今、「気に入らないことがあると、すぐ顔に出てしまう」と少しでも自覚があるなら、この先を読んでほしいのです。かつての私と同じ場所に、立っているかもしれません。

怒りは「性格」ではなく、技術で扱える

ここからが本題です。私は長い間、怒りっぽさは性格だと思っていました。「俺は短気だから」で済ませていた。でも、違いました。アンガーマネジメントというスキルがあるように、怒りはある程度、テクニカルに解決できます。性格を変える必要はなく、技術を学べばいい。この発見は、私にとって救いでした。

代表的な技術を3つだけ紹介します。

①6秒やり過ごす。怒りのピークは長くても6秒程度と言われています。カッときた瞬間に言い返さず、心の中で6つ数える。たったこれだけで、「売り言葉に買い言葉」の事故はほぼ防げます。

②怒りに点数をつける。カッときたら「今のは10点満点で何点か」と自分に問う。人生最大の怒りが10点だとしたら、部下のミスや渋滞は、せいぜい2〜3点のはずです。点数をつけるという行為そのものが、感情から一歩引いた「観察者」の位置に自分を移してくれます。

③「べき」を疑う。怒りの正体は、ほとんどが「〜すべきなのに、そうなっていない」というズレです。挨拶はすべき、報告は先にすべき、時間は守るべき。その「べき」は本当に絶対か。自分の「べき」は、他人にとっての「べき」ではない――そう気づくだけで、怒りの火種は半分以下になります。

技術の先にあった、たったひとつの決心

ただ、正直に言うと、技術だけでは足りませんでした。6秒数えても、点数をつけても、怒りの種そのものは向こうからやってきます。技術は「事故を防ぐブレーキ」にはなるけれど、エンジンそのものは変わらない。

私のメンタルが本当に安定したのは、アンガーマネジメントを学んだあと、ひとつの決心をしてからです。それは――

自分の機嫌は、自分で取る。

機嫌が悪くなるのを、天気や渋滞や他人のせいにしない。誰かに機嫌を取ってもらうことを、期待しない。自分のご機嫌の管理責任者は、自分。そう決めてしまうと、「怒らされた」という言葉が使えなくなります。怒ったのは自分であり、機嫌を立て直すのも自分の仕事になるからです。

お気づきの方もいるかもしれません。これは、私が人生を立て直す柱にしてきた「責任自分論」と、まったく同じ構造です。人生の主語を自分に戻すように、感情の主語も自分に戻す。この決心が、その後の私のメンタルの安定に、いちばん効きました。

今日からできる、3つのこと

  • カッときたら、心の中で6秒数える。その場で言い返さない。6秒後もまだ言うべきことなら、落ち着いた声で言えばいい。6秒で消えた怒りは、最初から言う価値のなかった怒りです。
  • 今日イラッとしたことに、点数をつけてみる。10点満点で採点すると、日常の怒りのほとんどが3点以下だと気づきます。3点以下は「スルーする」と事前にルール化しておくと、さらに楽になります。
  • 「自分の機嫌は自分で取る」と一度だけ宣言する。口に出しても、手帳に書いてもいい。決めた瞬間から、不機嫌を垂れ流すことが「誰かのせい」ではなく「自分の怠慢」に変わります。この視点の転換がすべての始まりです。

まとめ

キレるおじさんを卒業するのに、人格の作り直しは必要ありません。まず技術(6秒・点数・「べき」を疑う)で事故を減らし、最後に「自分の機嫌は自分で取る」と決める。順番はこれだけです。

あの頃の私のように、周りに気を使わせて生きるのは、今日で終わりにしませんか。怒りをまき散らす男は人を遠ざけ、機嫌を自分で取る男は人を惹きつける。メンタルの安定は、イケおじの土台です。

※あわせて読みたい:他人のせいにし続けた40代の私が、「責任自分論」で人生を取り戻すまでイケおじの定義とは?真の力強さと粗暴さを分ける5つの違いイケおじとは?40代・50代男性が抜け出す7つの条件

目次