服にも消費期限がある|10年前の私服を全部捨てて、印象が変わった話

整理されたミニマルなクローゼットの前で、ネイビージャケットの袖口を整える50代の日本人男性

突然ですが、プライベートの服、最後に買い替えたのはいつですか?

仕事用のスーツは、それなりのものを選んで、定期的に入れ替えている。ビジネスの場では身だしなみが評価に直結することを、私たちは知っているからです。ところが私は、プライベートの服になると完全にノーマークでした。気がつけば、10年以上、一度もアップデートしていなかったのです。

食品に消費期限があるように、実は服にも消費期限があります。この記事は、それを痛烈な一言で思い知らされた私が、クローゼットを丸ごと入れ替えて「服の新陳代謝」という仕組みにたどり着くまでの話です。

目次

「買い出しに来ている某国の人みたい」──社員旅行での一言

年に一度の社員旅行でのことです。当然、新しい私服などあるはずもなく、私は10年以上前の服装で参加しました。本人はいたって普通のつもりでした。

あとから人づてに聞いた話では、その年に入った新人の部下が、私を見てこう言っていたそうです。「日本に買い出しに来ている、某国の人みたいですね」と。

これには笑いました。言い得て妙、座布団一枚です。でも、笑ったあとに、じわじわと来ました。会社では「それなりの上司」のつもりでいた自分が、一歩外に出れば、若い世代の目にはそう映っていた。スーツという鎧を脱いだ瞬間の自分こそが、素の自分の評価なのだと、気づかせてもらったのです。

なぜ私服だけ、10年も止まってしまうのか

冷静に考えると、理由は単純でした。スーツには「他人の目」という締め切りがあります。商談、会議、冠婚葬祭。誰かに見られる予定が、強制的に更新を促してくれる。

一方、私服には締め切りがありません。着られなくなるまで着られてしまう。そして服は、食品と違って腐らないから、期限切れに気づけないのです。

でも実際には、服は二重に劣化しています。ひとつは物理的な劣化。首まわりのヨレ、色あせ、毛玉、落ちない黄ばみ。もうひとつは時代とのズレです。生地が無事でも、シルエットや丈感は確実に古びていく。10年前の「普通」は、今の「野暮ったい」。この二つ目の劣化は、鏡を毎日見ている本人がいちばん気づけません。

全部捨てる。そして、選べないなら選べる人に頼る

私が取った行動は、シンプルでした。まず、今ある服をすべて処分したのです。中途半端に残すと、結局そればかり着てしまうことがわかっていたからです。

次の壁は、服を買いに行っても、何を買えばいいのか分からないことでした。長年、服を選ぶという行為をしてこなかった人間に、いきなりセンスは宿りません。そこで私は、おしゃれに気を使う年代の子どもに付いてきてもらい、インナー、アウター、パンツ、靴まで、すべてのコーディネートをしてもらいました。

ここにプライドは一切不要です。分からないことは、分かる人に頼る。仕事では当たり前にやっていることを、服でやるだけ。むしろ、若い感覚を借りられる相手が身近にいるなら、それは最高の資産です。そのおかげで私は、流行を少しだけ取り入れた、年齢に合う服装を少しずつ身につけられるようになりました。今では、野暮ったさが消えて、「清潔感がある」と感じてもらえるようになっています。

2年ルール──クローゼットに「新陳代謝」を組み込む

一度リセットしても、放っておけばクローゼットはまた10年前に戻ります。そこで私は、仕組みで解決することにしました。それが「2年ルール」です。

買ってから2年経った服は、すべて手放す。まだ着られる服で需要がありそうなら、メルカリに出品する。くたびれた服は、迷わず廃棄する。クローゼットの中身が、常に「2年以内の服」だけで循環するようにしたのです。

このルールの良さは、判断が要らないことです。「まだ着られるかな」「もったいないかな」と迷う余地をなくす。期限が来たら入れ替える。それだけで、物理的な劣化も、時代とのズレも、自動的にリセットされ続けます。服の量も増えないので、選ぶのも楽になる。体と同じで、クローゼットも新陳代謝が止まった瞬間から老化が始まるのです。

今日からできる、3つのこと

  • クローゼットの服に「購入年」を思い出せるか、試してみる。いつ買ったか思い出せない服は、ほぼ間違いなく消費期限切れです。まずは現状把握から。
  • 次に私服を買うときは、センスのある同伴者を連れて行く。子ども、若い同僚、店員さんでもいい。「自分で選ばない」と決めるだけで、10年分のズレは一日で埋まります。
  • 手放す期限を、年数で決めてしまう。私は2年にしていますが、3年でも構いません。大事なのは「迷ったら捨てる」ではなく「期限が来たら捨てる」にすること。判断を仕組みに任せるのが続けるコツです。

まとめ

服には消費期限があります。腐らないだけで、確実に切れていきます。そして期限切れの服は、あなたの印象まで期限切れに見せてしまう。

スーツだけ整えて、私服が10年前で止まっていた私のようになっていないか、一度クローゼットを開けてみてください。古い服を手放すたびに、古い自分もひとつ手放せる。服の新陳代謝は、人生の新陳代謝です。

※あわせて読みたい:清潔なのに、もてない。──「何もしていない男」と同じ箱から抜け出す清潔感の作り方おしゃれな男性と感じてもらうために心がけることミニマム生活のすすめ|断捨離でイケおじの部屋も人生もスッキリ変わる

目次