20秒全力で動いて、10秒休む。これを8回繰り返して、合計4分。
「タバタ式」と呼ばれるこの運動は、「4分で1時間の有酸素運動に匹敵する」という説明と一緒に紹介されることがよくあります。忙しい40代・50代にとって、これほど魅力的な話はありません。
ところが私は、この4分を一度もできていません。
バーピージャンプで続けられるのは3分まで。始めたころは1分でした。それでも、2020年から続けています。いまは毎日です。
この記事は、4分できない側から書きます。そして、「4分で1時間分」の元になった論文を読んでみたら、そもそも論文はそんなことを言っていませんでした。
私がやっているのは、バーピー3分だけ
始めたのは2020年、コロナ禍が始まったころです。家にいる時間が増えて、体がなまっていくのが分かりました。
私は、長い有酸素運動が苦手です。1時間ジョギングをする、というのはできませんでした。だから「短い時間でいい」という話に惹かれました。
やってみると、4分どころではありませんでした。1分で息が上がりました。ですから、習慣になるまでは1分だけと決めて続けました。
いまのメニューはこうです。
- バーピージャンプだけを3分
- ときどき、YouTubeにある別の4分間のHIIT動画に合わせて動く
- 毎日。休みの日はなし
強さは「ゼイゼイと息が上がる」くらいです。限界まで追い込んではいません。バーピーで4分を通そうとすると、いまでも続きません。
「タバタ式は4分」と書かれた記事を読むたびに、自分はまだ足りていないのだと思っていました。そこで一度、元の論文を確かめてみることにしました。
「4分で1時間分」の元論文を読んでみた
元になっているのは、1996年に発表された田畑泉氏らの論文です。当時、田畑氏は鹿屋体育大学に所属していました(「立命館大学の田畑教授」と紹介されることが多いのですが、それは後年の所属です)。
論文の中身を、分かる範囲で整理するとこうなります。
| 持久トレーニング群 | 高強度インターバル群 | |
|---|---|---|
| 運動 | 自転車こぎ | 自転車こぎ |
| 強さ | 最大酸素摂取量の70% | 最大酸素摂取量の約170% |
| 1回の中身 | 60分 | 20秒運動+10秒休憩を7〜8本 |
| 頻度・期間 | 週5日・6週間 | 週5日・6週間 |
| 最大酸素摂取量 | 上がった | 上がった |
| 無酸素性の能力 | 有意には上がらなかった | 28%上がった |
「最大酸素摂取量」は、体がどれだけ酸素を取り込んで使えるかという持久力の目安です。「無酸素性の能力」は、息を止めるような短く激しい動きを支える力です。
つまり論文の結論は、「高強度インターバル群は、持久力も、短く激しい動きの力も、両方伸びた。60分の持久トレーニング群は、後者が伸びなかった」というものです。
論文は「4分で1時間分」とは言っていなかった
読んでみて、よく見かける説明とのずれが3つありました。
一つ目。4分1回と1時間1回を比べた研究ではありません。比べているのは、週5日・6週間続けたプログラム同士です。「4分やれば、その日の1時間分」という話ではありません。
二つ目。強さがまったく違います。最大酸素摂取量の約170%というのは、7〜8本で力尽きるように設定された負荷です。専用の自転車で、負荷を固定してこぐ。「ゼイゼイ息が上がる」とは別次元の強さです。
三つ目。中高年を対象にした研究ではありません。高強度インターバル群の被験者は7人です。30代から60代の人が自宅でバーピーをしたらどうなるか、を調べたものではありません。
ここまで読んで、はっきりしました。私がやっているのは、タバタ式ではありません。論文の4分と、私のゼイゼイ3分は、名前が似ているだけの別物です。私のやり方で、論文と同じ効果が出るとも言えません。
健康の話には、元の研究より大きく伝わっている数字がよくあります。胸を張るとテストステロンが上がるという話を調べたときも、同じことが起きていました。
それでも、私はやめていない
では、4分できない私のHIITに意味はないのか。私はそうは思っていません。
私は1時間のジョギングができませんでした。できない1時間より、毎日できる3分のほうが、私の体を動かしてくれています。比べる相手は論文の被験者ではなく、何もしていなかった2020年の自分です。
そして、限界まで追い込んでいないことにも理由がありました。体への負担が少ないので、今のところ故障がありません。毎日、休みの日を作らずに続けられているのは、たぶんそのためです。
一般には、激しい運動には休養日を入れるように言われます。私の場合は「追い込まない」ことで、毎日でも回っている、というだけです。強度を上げるなら、休みも必要になると思っています。
「4分できない」と気にしていた時期もありました。でも論文を読んだいまは、気にする必要はなかったと思っています。あの4分は、そもそも私が目指すものではありませんでした。
4分できなくてやめた人へ
もしあなたが、タバタ式を試して「4分もたない」と挫折したなら、それは普通のことです。論文の4分は、専用の自転車で力尽きるまでこぐ4分です。自宅で、準備もなく通せなくても不思議ではありません。
私がやってみて、よかったと思うことを書いておきます。
- 1分から始める。息が上がれば、その日は十分です
- 「4分」「8本」という数字に縛られない。私は、続けられる長さで十分だと思っています
- 限界まで追い込まない。私の場合は、追い込まない分、毎日続けられています
- 持病がある人は、始める前に医師に相談する。高血圧、心臓、膝や腰に不安がある場合は特にです
バーピージャンプのフォームや、毎朝の習慣に組み込むやり方は、別の記事に詳しく書いています。
まとめ
「タバタ式4分は、1時間の有酸素運動に匹敵する」。元の論文を読むと、この言い方は正確ではありませんでした。
- 比べていたのは週5日・6週間のプログラム同士で、4分と1時間を1回ずつ比べたのではない
- 強さは最大酸素摂取量の約170%。専用の自転車で力尽きるまで
- 被験者は7人。中高年を対象にした研究ではない
私はこの4分を、一度もできていません。いまもバーピー3分が限界で、強さはゼイゼイ息が上がる程度です。それでも2020年から続いていて、いまは毎日やっています。
できない4分を目指すより、できる3分を毎日。40代・50代の運動は、それで十分だと思っています。



