いい人フォルダは、時間だけでは動かなかった|媚びるのをやめた私の5つの転換点

好きな人の前に立つと、私は笑っていました。楽しかったからではありません。気に入られたかったからです。今思えば、あれは卑屈な笑顔でした。

相手の意見が自分と違っていても、口には出しませんでした。言えば摩擦が起きる。それを避けたくて、黙ってうなずいていました。

いつからそうだったのかは、はっきり覚えていません。ただ、自分に自信がなかった時代は、ずっとそうだったと思います。

この記事は、その「媚び」を少しずつやめていった話です。

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フォルダが動いたのは、時間のおかげだけではなかった

以前、「いい人だよね」は丁寧な通告だったという記事を書きました。友達フォルダに入った相手が恋人フォルダへ移ったのは、私の人生で一度だけ。30年ぶりに再会した、今のパートナーです。

あの記事では、フォルダを動かしたのは「30年という時間」だと書きました。ただ、それだけでは足りなかったと思っています。

時間が古い印象を消してくれたこと。そして、その間に自分を作り直していたこと。私の場合は、その両方が必要でした。

あの記事が「時間」の話だとすれば、この記事は「作り直した」ほうの話です。

媚びると、相手は離れるか、軽く見る

作り直すと言っても、何かを足す話ではありません。私の場合、中心にあったのは、媚びるのをやめることでした。

私の考えでは、媚びられた側は、離れたくなるか、相手を軽く見るか、どちらかに傾きやすいものです。卑屈な笑顔は好意としてではなく、「自分を相手より下に置いている」という合図として届いてしまう。違う意見を飲み込んで合わせることも、同じ合図になります。

これは研究で確かめた話ではなく、私がそう感じているというだけのことです。

40代で人生を見つめ直す時期があり、そこから自分の振る舞いを一つずつ変えていきました。次の5つです。

私が変えた5つのこと

1. 自分の考えは、聞かれたら話す。でも媚びない

以前この記事には「会話の中に、自分の価値観を置くこと」と書いていました。今読み返すと、少し違います。

私は、自分から主張はしません。聞かれたら、自分の考えをそのまま話します。そして、相手の意見が違っていても、昔のように黙って合わせることはしません。

主張しないことと、媚びることは別です。自分の考えを押しつけなくても、相手に合わせて自分を消す必要はありません。

2. 自分を保ったまま、すり合わせる

頼まれたことを、何でも「いいよ」と引き受ける。かといって、自分の都合だけを通す。どちらも違うと思っています。

目指すのは、自分の予定や考えは守りながら、相手の希望にも耳を傾けて、お互いが心地よいところを一緒に探すことです。たとえば、こんな言い方になります。

  • 「今日は先約があって難しい。来週の同じ時間ならどう?」
  • 「全部はできないけど、ここまでなら手伝える」
  • 「私はこう思うけど、あなたの考えも聞かせてほしい」

引き受けるか断るかの二択ではなく、もう一つの答えを出す。仕事で上と下の間に立ってきた人なら、もう持っている力だと思います。

3. 夢中になれるものは、無理に作らなくていい

以前は「夢中になれるものがなければ、今日から作ること」と書いていました。これも書き直します。

無理に作る必要はありません。夢中になれるものが出てきたら、そのときは熱を込めて語ればいい。それで十分だと、今は思っています。

4. 見た目と所作を整え、安心できる笑顔で接する

ここは以前の記事のままです。

  • 姿勢を意識する(胸を張り、あごを引く)
  • 低く、ゆっくり話す
  • 香りで、自分の記憶を残す
  • 高い服でなくていいので、サイズの合ったものを着る
  • 歯と肌を整える

そこに、一つ加えたいことがあります。相手が安心できる笑顔で接することです。

冒頭に書いた卑屈な笑顔とは、まったく別のものです。気に入られるための笑顔ではなく、目の前の人がほっとできる笑顔。笑顔については笑顔で若く見える、は逆だったという記事に、香りについてはデートで同じハンドクリームを使い続けた話に、私の体験を書いています。

5. 深く考え、それを伝えて、意見を交わす

以前は「すべてを語らないミステリアスさ」を勧めていました。これも違ったと思っています。

自分の中で深く考えることは、とても大切です。けれど、考えたことを胸にしまっておくより、相手に伝えて意見を交わせたほうが、もっといい。黙って奥行きを匂わせるより、話して、聞いて、お互いの考えを知るほうが、関係は深まると思います。

頭の中を言葉にする練習としては、ゼロ秒思考の記事に書いたメモ書きが役に立ちました。

「いい人」をやめて、失ったものはなかった

いい人をやめたら、嫌われるのではないか。そう不安に思う人もいるかもしれません。

私の場合、失ったものはありませんでした。

代わりに変わったのは、相手との目線です。対等な目線で見てもらえるようになりました。そして、お互いにリスペクトし合える関係になりました。

冷たい人になる、という話ではありません

誤解のないように書いておきます。いい人をやめることは、冷たい人や、自分勝手な人になることではありません。

うそをつく、駆け引きをする、相手を試す。そういうことは、ここで書いてきたことと正反対です。私がやめたのは優しさではなく、自分を下に置くことでした。

それから、今のパートナーとの関係が温かいなら、この記事を読んで何かを変える必要はありません。長く一緒にいる人に急に振る舞いを変えれば、相手を戸惑わせるだけです。

この記事が役に立つとすれば、好きな人の前でつい笑顔を作ってしまう人、違う意見を飲み込んでしまう人に対してだと思います。昔の私が、そうでした。

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